アルゴの中学受験日記

中学受験を通じて成績と連動する真の努力の形を伝えます

今思うこと

シリーズ 次の時代③

シリーズ 次の時代③

アメリカの経済は、行き詰まっています。

前例のない大規模な金融緩和にもかかわらず、実質的な生産も消費も伸びません。

トランプ大統領は、バブルによって見せかけの活況を呈している株価を再選の足がかりにしようとしましたが、新型コロナにより吹き飛びました。

この状態であれば見通しのない金融緩和がしばらく続き、日本もさらなる金融緩和に向かわざるを得ないでしょう。

日本の金融緩和の原資は、国債と年金資金に頼らざるを得ません。

国債は招喚の繰延をすれば先延ばしできますが、年金資金の返還は猶予がありません。

そんな緊迫する中、財政運営をする日本に、追い打ちをかけるようにこの新型コロナ禍です。

こんなときは、太閤検地・刀狩り然り、明治維新然り、社会生活・経済活動の抜本的な変革が必要となります。

たとえば、工業生産においては、人件費は単なるコストですが、文化産業においては、人件費はコストではなく投資です。

日本のこれからの産業は、人件費を投資として考えられる人材を育成することによって生まれてきます。

これまでの工業時代では、人間は一方では労働者であり、他方では消費者でした。

これからの文化産業の時代には、人間は消費者であるとともに、一人ひとりが文化の生産者となります。

一人ひとりが生産者となることによって、消費の仕方もまた大きく変わります。

人間が労働者兼消費者であった時代は、よりよいものをより安く買うことが消費の原則でした。

人間が生産者でありかつ消費者である時代には、消費の原則は、より個性的なものをできるだけ高く購入するという形になります。

ちょうど、学校の文化祭で、模擬店に出品されているものを参加者が互いに買い合うというときの発想に似た消費行動になっていきます。

このような意識の文化産業が発達するためには、社会の構成員の多くが創造性を発揮する能力を持っていなければなりません。

そのためには、まだ長い年月がかかるでしょう。

そして、その文化産業が軌道に乗る前の時代には創造性を育てる教育が、一つの大きな産業として必要です。

日本がこれから世界に輸出していく産業は、高度な工業製品もありますし、ロボットによってコストを抑えた中程度の工業製品もあります。

しかし、それ以上に日本が得意としなければいけない分野は、教育プラス観光という産業形態です。

観光もまた、単に京都や奈良という歴史的な名所や、富士山のような自然の名所だけでなく、その土地〃の個性を生かしたものになっていきます。

例えば、新潟県佐渡市は、「トキの舞う街」というコンセプトのもと運営され、認知されています。

ここに至るまでの困難は割愛しますが、このコンセプトを生かして存在しています。

トキが群れ飛び、普通に田んぼや池に餌をついばむ。

まさに、「人とトキが共生する社会」。

一度絶滅の危機に瀕しただけに、その姿はなにものにも代えがたい価値があり、より一層輝きを増します。

「ヒトとトキが共生する社会」とは、ヒトが永続的に生活できる社会であることも示し、そこに多くの人は価値を見出します。

多くの地域がこのような形で観光地としての個性を出してことは、日本中の地域がさまざまな魅力を発信することとなり、色々な価値観の人々を吸引していく原動力となっていきます。

そしてひいては、日本に教育を受ける目的で世界中さまざまな国の人々が訪れるファクターとなると考えられます。

これは、近年急激に膨張し、新型コロナの感染とともに弾け飛んだインバウンド需要とは、本質が似て非なるものです。

関連記事