いいものを作るには、アイデアとテクニックの両方が必要です。
これは作文でも同じで、アイデアとは、書く中身のこと。
何を書こうかと頭の中でもやもやとしているもののことです。
テクニックは、もやもやを文章という見える形にする方法のこと。
どちらも欠かせない大事なものですが、さらにアイデアとテクニックの両方に関わってくるもので忘れてはならないものに道具があります。
作文の道具って何だと思います。
鉛筆と紙?確かにそれも必要ですが、一番大切なのは、ことばです。
ことばは、材料にもなります。
けれど、実は作文に欠かせない道具でもあるのです。
ことばをたくさん知っていなければ、いい文章は書けないと思っていませんか?
これは、ハズレ。
むしろ、今持っていることばをとことん使いこなすことの方が重要です。
どんどん新しい道具を手に入れることは、それはそれで楽しいくいいことなのですが、せっかくの知っていることばをトコトン使うことの方がそれにも増してもっと大切なことなのです。
そんなことばの使いこなし術を少し紹介してみましょう。
一つ目は、前に述べたように気に入ったことばをトコトン使うこと。
マイブームのことば、ありませんか?
気がつけば口癖のように連発していることば、ないですか?
流行の話しことばは、作文では使いにくいけれど、うまくアレンジすればおもしろいものもたくさんあります。
作文の結びをいつも同じ決まり文句にしている人がいました。
もちろん「楽しかったです」というだれでも書きそうなことばだと印象に残らない。
自分だけのことばのパターンができるとすてき。気に入るということは、使いやすい、便利、自分にぴったりくる、おもしろいというような、何かいいところがあるものです。
あきあきして嫌になるぐらい、いろいろな場面で使ってみるといいと思います。
二つ目は、まったく反対の方法です。作文の中で同じことばを二回以上使わないようにする。
「楽しい」ことがいっぱいあっても、「楽しかった」は一度しか使わない。
ほかの楽しかったことは、別の知っていることばで書いてみる。
「うれしい」「わくわくした」「にこにこした」「ジャンプした」「鼻歌をうたっていた」「スキップした」というように、違うことばで表してみましょう。
連想ゲームといっしょです。
読む人に「楽しかったんだなあ」とか、「楽しそう」と思わせるようなことばを考えるのです。
これは、かなり良いことばのトレーニングになります。
ぜひ、試してみてください。
それでも知っていることばを全部使い切ってしまうことはないと思います。
子どもたちには、想像以上にことばの貯金がたくさんあります。
もっとどんどん引き出して遣ってほしいものです。
ムダ遣いすればするほど増え続ける、ことばは変な貯金です。
中学受験を考える学習塾『アルゴ・システムズ』
代表 村元 謙二(文責)
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