アルゴの中学受験日記

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作文教室

自分の言葉を手に入れる

自分の言葉を手に入れる

作文を書くことがどうして大事なことなのか、考えてみたことがありますか。学校でも、「作文を書く練習は大事なことだ。」とよくいわれます。そのことを疑問に思ったことはありませんか。作文を書くことには、単に、「大切だ」とか、「きっと役に立つ」とか、「上手に書けると楽しい」ということの他に、書いているうちに見つけることができる大切なものがあると思うのです。では、その大切なものとは…。

ヒントになるお話は、とある作家が中学校での国語の特別授業をしたときのようすをまとめた記事にありました。作家は、授業でまず、「作文は、自分の言葉を手に入れるために必要な練習です」と言っています。つぎに、「自分の言葉を手に入れるということは、言葉を発するとき、そこに気持ちがあり、その気持ちはひとそれぞれが違い、同じものを見ても、思い浮かぶ言葉、情景の表現はみな違うはずです。その違いを表すには自分の言葉を持つことが大変大切なことになり、そのためにも、自分の言葉を探し続けてほしいものです」と続けて結んでいます。

こういう考えに触れると、作文を書くとき、自分の頭で考え出した言葉を一つ一つを丁寧に組み立てていくことが要求されていることがわかります。作文を書くことは、かなりのエネルギーを必要とします。まず書きたいことを決め、それをどんなふうに書いていくのか考え、体験したことを詳しく思い出し、文章として組み立てながら全て自分で考え決めて、進めていかなければなりません。初めからスラスラと、難なく書ける場合は少ないのです。

しかし、苦労して書き上げたとき、自分の力で成し遂げたという達成感を感じることができるのは間違いありません。書き上げたあとの読み返しのとき、我ながら良く書けたと思ったり、もう少し上手に書けたかもしれないと反省したり、といろいろあるものです。しかし、一つのことを成し遂げた高揚感と嬉しさはなにものにも代え難いものです。

この一連の作業が全部自分の言葉で成しとげられていくわけですから、作文を書くことは自分の言葉をたくさん考えて使い、しだいに表現豊かな言葉や文字が身についていくことに繋がります。「作文はタイトルと出だしが大事」とも、前述の作家は言っています。これは言い替えれば、①書き出しの工夫、②情景の帰結、③題名の工夫、というチェツクポイントとなります。

自分の言葉を持つことは、いろいろな人に出会ったときに、自分の気持ちを分かってもらうことのできる大切な手段となります。作文を書いたり、長文を読んだりすることにより、たくさんの自分の言葉をその掌の中に掴み、いろいろな言葉を折り込みながら豊かな表現をなしたいものです。

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