読みやすい文章は、その長さの平均がおよそ40-45字です。
文の長さの平均が短い人は、文章を書くときにあまり深く考えていません。
したがって、小学生の文章では文の長さの平均が、自然に短くなります。
もちろん、これがよくないという訳ではありません。
生活作文など事実中心の文章では、文の長さは自然に短くなります。
哲学者の書く文章は、文の長さの平均が60字前後。
密度の濃さを感じさせる文章ですが、読みやすいとはいえません。
また、長い文を書く人はよく考えて書いているとはいえますが、その分、文章を書くスピードが大概低下してしまいます。
また、文の長さの平均以外に長さのばらつきも、読みやすさの重要な要素となります。
同じような長さの文が続く文章は、単調な印象を与えます。
しかし、逆に、長い文と短い文があまりに混在していると、読みにくさを感じさせます。
長さという点からいうと、長い文と短い文が適度に混在し、一文の平均が40-45字の文章が、読みやすい文章ということでしょうか。
しかし、文章を書いているときに、いちいち字数を数える人はいません。
どうしたら適度な長さの読みやすい文章を書くことができるのでしょう。
そのためには、これまでに読んだ適度な長さの文章のリズムを、自然となぞれることが必要となります。
則ち、読みやすい文章を書くためには、適度な長さの文章を読む必要があるということです。
この夏休み、お子さまたちは読書感想文のために、いろいろな本を読みました。
その多くは主に、最近出版された小学生向けの物語を取り上げる傾向にあるようです。
それらの本は確かにどれも、子どもたちが興味を持って読み進められるような優れた内容の本です。
しかし、一つ一つの文が短いことと、文体がわざとざっくばらんに書いてある本の多いことが気になります。
読みやすい本が本当に子どもたちに読んでほしい本なのでしょうか。
逆に、芥川龍之介の「杜子春」などは、使われている語彙は古いものの、文体のリズムはやはり洗練されています。
こう文章のリズムがぎこちない子どもたちが増えてくると、子ども向けの書籍を選ぶ際、文体も重要な要素になってくるなと、最近、特に考えるところです。