私は、この日記に「どんなことを書こうかな」と考えているときがとても好きです。だから、そんな楽しみの時間を1日の終わりにとっておいてイメージします。
1日目は、たいていそのまま、ものになりません。…(+_+)。2日目は、必殺ツールであるメモを取り出します。メモといっても頭の中。このメモは2枚あって、1枚目には「絶対に書きたいこと」、2枚目には「思いついたこと」がこまかくメモされています。つまり、1枚目が「構成:中心を決める」、2枚目が「たとえ、思ったこと、体験実例」などの集約となるわけです。
みなさんは、どのように文章を書き始めますか?思いつくままに書くと、「あのことを書き忘れた」とか「たとえを入れ忘れた」などと忘れ物が多くなってしまうかもしれません。そんなとき、この必殺ツールは有効です。頭の中のでもいいし、本物の紙のメモ帳でも結構です。すこし書きたいことを整理してから書き始めてみてください。きっと自然な流れの文章が書けるはずです。
それと、文章を書く前の必殺ツールがもう1つあります。「書く人」は「読む人」の気持ちになって書くべき、という心構えです。これを「共通認識の醸成」といいますが、自分はわかっていることでも、「読む人」が知らないことは多々あるのです。
「きょう、ジョンと散歩に行きました。」
この文を読んだとき、「ジョンってだれ?」と思いませんか。犬?ネコ?外国の人?頭の中がモヤッとします。
「きょう、犬のジョンと散歩に行きました。」
こう書き直すだけで、スッキリしますね。
「きょう、柴犬のジョンと散歩に行きました。」
こう書けば、2番目の文よりたった2字増えただけなのに、「読む人」は犬の種類まで知ることができます。
「読む人」のことを考えて、ほんの少し工夫するだけで、文がわかりやすく変身する……。この「イメージの明確化」の作業が文章技法の面白いところであり、難しいところでもあるのです。
私が作文・小論文を読んでいるとき、「ここが書き難かったかな」とか「感想文はあまり好きではないな」などと、一人ひとりの書いているときの姿をイメージします。それはなにものにも代え難い私の宝物の時間です。そして、子どもたちの努力がギッシリつまった作文・小論文は、それにも勝る本当の宝物だと思います。
自分ではナカナカ気付きませんが、書き続けることで文章技法は確実にパワーアップします。今回ご紹介した2つの必殺ツールを使って、書くことへの確かな歩みを、ぜひ一歩ゝ進み続けてほしいものです。