アルゴの中学受験日記

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読書の森

「博士の愛した数式」

「博士の愛した数式」

以前、小川洋子さんの「博士の愛した数式」という本を読みました。この本は第一回本屋大賞を受賞し、映画となり、そのDVDを見たのがきっかけでした。

事故の後遺症で、八十分しか記憶がもたなくなった博士とその家に家政婦として働きに来た女の人とその息子の三人が主な登場人物です。本の題名からわかるように、博士はもともと大学で数学の研究をしていた人なので、数字に関する話がたくさん出てきます。算数や数学の苦手な人は題名を見ただけで読む気がなくなるかもしれません。ストーリーは博士が八十分しか記憶がもたないことをキーポイントにしながらいろいろなアクシデントとともに進んでいきます。そして最後には感動のクライマックスが待っています。ですから数字や数学のことがわからなくても十分充足した読後感を味わうことができました。

しかし、私がこの本を読みながら思ったことは、もし自分が数字についてもっと興味を持ち理解できれば、この本をさらに楽しむことができたのではないかということでした。「君は三角数を知っているかね。」「実にエレガントな数字なんだ。」「江夏の背番号は完全数28」…本の中に出てくるこんな会話に共感しながら読むことができたらどんなにいいかと思いました。

このようなことから思われることは、本を楽しむためにはいろいろな知識を持っていたほうがいい場合も(あくまで、いい場合も)あるということです。読書の楽しみ方は自由です。したがって、直感にたよる読み方をするのもいいと思います。しかし、私にとって今回のことは自分が数字についての知識がないことをとても残念だと思わせました。あれはいやだ、興味がない、とえり好みをせず、とにかく目の前にあることに興味を持ってみる。そうすると、どこかでそれが私の目をさらに開かせる機会があるのだということを実感しました。。

さまざまなことに興味を示す方が人生を楽しく過ごせるのでは。そこには、食わず嫌いにならず、柔軟な感性でいろんなことにチャレンジしてみる気持ちが存在します。

もちろん、「博士の愛した数式」もことばの学校に登録されていて、子どもたちに広く愛読されています。優しさが伝わる本っていいですね。

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