アルゴの中学受験日記

中学受験を通じて成績と連動する真の努力の形を伝えます

今思うこと

『上手に失敗する』

『上手に失敗する』

「失敗はきらいですか?」と聞くと、「きらいに決まってるでしょ。」と答える人がほとんどです。私もやっぱりきらいです。車庫入れで柱に擦りたくないし、オーディションを受ければ(ちなみにわたしは受けたことはありません。)合格したいものです。当然、テストでも良い点をとりたいと思います。

つまり、失敗は悪いものだ。いつも成功しなければならないのだ。わたしたちはこう考えがちです。しかし、実は『良い失敗』というものも実在するのです。

『良い失敗』という言葉は東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏が提唱する考え方です。工学系教授であった氏は、科学技術分野の事故や失敗事例を集めて分析し、【失敗学のすすめ】という本を著しました。ベストセラーになり、高校の教科書でも取上げられたので、読んだことのある方もいらっしゃるでしょう。

畑村教授曰く、失敗には二通りあるとのこと。それは『悪い失敗』と『良い失敗』。「失敗に良い悪いがあるなんて?」と思いますよね。教授は続けます。『悪い失敗』とは、手抜きしたために起こったもの。『良い失敗』とは、進歩を目指して工夫したが、起こってしまったもの。一つ目はしてはいけない失敗、二つ目は誉めてもらえる失敗。『良い失敗』は新しい発見につながるので、「しちゃいけない」と思う必要はない。『良い失敗』を恐れると、進歩がなくなってしまう。それはもったいない、と続きます。

教授によれば、『失敗は宝の山』。事実、『失敗は成功の母』という言葉もあるぐらいです。『転んでもただでは起きない』精神さえあれば大丈夫。失敗は創造力を磨く機会だと考えよう。次はどうしたらうまくいくか?こうしたらどうだろう、ああしたら……と創造力を働かせるチャンスなのだ、と言い切ります。そう考えれば、失敗は恐ろしいものではなくなります。

しかし同時に、『悪い失敗への恐れ』も学ぶべきでしょう。手抜きをしたために起こる、誉められないほうの失敗。こちらは、基本を怠らず慎重に取り組むことで避けられます。国語の勉強であれば、漢字をしっかり練習する、文章をきちんと音読する、算数なら検算する、単位をそろえる、丁寧な作図をする。こんなほんの些細なこと。これらの基本を守ることに大きな成果へのプロセスがあります。

失敗したらまず、それは手抜きの結果かどうかを考える。YESであれば大いに反省して基本を見直す。NOであれば、とにかく自分を誉めてあげる。そして次はどうしたらうまくいくかを考える。ここまでくれば免許皆伝。失敗のエキスパートを目指しましょう。失敗はどうしても避けることのできないもの。それなら、『上手に失敗する』方法を学ぶ。これが私たちのキャパシティーと広げます。

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