アルゴの中学受験日記

中学受験を通じて成績と連動する真の努力の形を伝えます

読書の森

読書で身につく知識

読書で身につく知識

知識には生きた知識と死んだ知識があります。受験期になると、よく時事問題の参考書が店頭に並びます。これらの参考書を読んで身につく知識は、クイズで聞かれたときに答えるのには向いていますが、生きた知識ではありません。その証拠に、いくらこれらの時事的な話題を参考書で覚えても、作文の中にそれらの知識をうまく生かすことはまずできません。

小学生の場合の生きた知識は、主に大人との会話によって身につきます。したがって、時事問題を生きた知識として身につけるためには、ニュースなどを話題にして、保護者の方が自分の考えを話してあげることが役に立ちます。お父さんやお母さんの知識は、参考書よりも詳しくないかもしれませんが、子どもたちには身近な人の実感のこもった意見の方がずっと心に残るのです。

知識のこのような仕組みを考えると、小学生の間は、子どもたちを勉強部屋でひとりで勉強させるよりも、家族の中で勉強させた方が、より効果的な学習ができるということがわかります。長文音読なども、保護者の方が料理を作ったり新聞を読んだりしている横で子どもたちが読むようにすれば、その長文に関する話題なども自然に生まれてきます。

同じようなことが、高校生で書く小論文にも言えます。学校の学習はしっかりやっているはずなのに、そこで学んだ知識を小論文にうまく生かせる人はほとんどいません。世界史や日本史などは、実例の宝庫のように思いますが、意外と小論文の実例としては使えないのです。

では、どういう実例が使えるかというと、その人が読書の中で読んで身につけた知識です。だから、本をよく読んでいる生徒は、的確な実例を書くことができます。本を読まずに勉強的な知識だけを詰め込んでいる生徒は、ありきたりの実例しか書けません。

ところが、更に言うと、同じ読書でも、入門書や概論書のように知識が上手に整理されているものは、やはり実例にうまく生かすことができません。よく「○○入門」という書名の本がありますが、そういう本は、実は意外と生きた知識にはならないのです。

それでは、どういう本が生きた知識になるかというと、それは原典です。どの分野でも、古典と呼ばれる定評のある本があります。書かれている内容が古くなっているように見えても、そこには、作者の生きた感情が流れています。それが、読み手にとって生きた知識につながるのです。

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