国語力というのは、もともとは日本語力です。
日本語を駆使する力は、生活の中で育っていきます。
これに対して学習の中で育つ国語力は、漢字の書き取りや熟語やことわざを覚えるような知識的な日本語力ということができるでしょう。
日常生活の中で、日本語に接する機会はいくつかに分けることができます。
一つは、対話であり、もう一つはテレビであり三つめは読書です。
家族との対話は、手軽で効果が極めて高い日本語の学習機会です。
これは幼児期から中学・高校生になるまで活用できます。
なぜなら、対話をおこないながら相手の反応に合わせて強弱をつけることで当意即妙ともいうべき対話のフットワーク即ち言語力が磨かれていくからです。
学力のあるお子様に共通している生活習慣は、おしなべて親子の対話が豊富だということです。
保護者の方が知的で面白い話をすることによってお子様の思考力や知的好奇心が広がっていきます。
逆に、保護者の方が断片的なこと、例えば「○○しなさい」というようなことしか言わなかったり、あまり話をしなかったりすると、お子様の考える力は育っていかないようです。
それでは、親子の対話を充実させていくためには、どのようにしたらいいのでしょうか。
対話のきっかけになるものは、親子共通の話題にできるものです。
それには、親子で読む本、親子で見るテレビ、親子で取り組むイベントなどを上げることができます。
過去にあるご家庭では、入試長文問題を親と子の対話の話題にしていました。
入試の長文問題は、次世代の子供たちに読んでほしい良書を選別し構成されています。
特に科学的な内容のものや哲学的なもの、啓発的なものも多いので、読むだけでも面白いのですが、対話の契機となれば保護者の方が話を発展させることができるものも多くあります。
大事なことは、お子様に答えさせるのではなく、保護者の方がたっぷり話をしてあげることです。
即興で創造する対話の楽しみが大事なのであり、単に大人が知っている知識を子供に伝えておしまいというようなやり方ではあまり効果はありません。
また、本来子供というものは面白いことが好きなので、対話の中ではできるだけ面白い話をするように心がけます。
茶の間にホワイトボードを置いておき、学校のようにホワイトボードで説明をしながら対話をしていくというようなことも子供たちは喜びます。
対話の結果、何か調べたいことが発生したら、日曜日に実際に確認する計画を立てます。
対話のある家庭では、テレビは主役にはなりません。
テレビの話題をもとに、みんながわいわい話し合うのが茶の間の過ごし方の中心になります。
テレビではなく家族一人ひとりが主役になるのが、本来の家族の過ごし方なのです。
しかし、親が子に話をするといっても、やはり何かの手助けがある方がやりやすいのも事実です。
その一つの手段が生き物です。
できれば、人間とコミュニケーションをとれる生き物がいいので、植物よりも動物です。
犬や猫が難しいのであれば、手のりの文鳥などでもいいと思います。
家族の対話に文鳥も参加して、あっちの頭にとまったり、こっちの肩にとまったりして話題を盛り上げます。
そして、その生き物自体が、またいろいろな研究のテーマを提供していくことになります。
このように、日常生活の中で知的な対話をふくらませていくと、知識だけでなく、子供の日本語力は思考力とともにが育っていきます。
いったん知的な対話のある家庭ができれば、将来、お子様が大きくなったとき、お子様自身も親としてそのような家庭を築いていくことになるはずです。
中学受験を考える学習塾『アルゴ・システムズ』
代表 村元 謙二(文責)
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