小学校低中学年のころは、親が学習をさせれば、子供の成績はよくなります。
この理由は単純で、このころの学習は表面的なものなので、与えればその分知識は増えるからです。
もちろん、学習をさせて成績をよくする方が、学習をさせずに成績を悪くするよりもずっといいことは確かです。
しかし、それ以上に大事なものは、成績をよくするのではなく、頭をよくする学習をさせることです。
頭をよくする学習というのは、抽象的な能力をつける学習です。
例えば、1を10回加えるときに、1+1+1+……と計算させていくのが、成績をよくする学習法だと、1×10という考え方を教えるのが頭をよくする学習法です。
正確に言えば、「考え方を教える」のではなく、そういう「考え方ができることを教える」のが、頭をよくする学習法です。
この成績をよくする学習法と頭をよくする学習法の違いは、学年が小さいころには出てきません。
頭をよくする学習をしている子は、低学年時はむしろ成績があまりふるわないのが普通です。
ところが、学年がだんだん上がるにつれて、頭をよくする学習をした子の方が伸びてきます。
と言いたいところですが(笑)、実は大学入試のころまでは、その差はまだそれほどはっきりしません。
大学入試ぐらいのレベルの学習では、成績をよくする学習法に根性で取り組んでいる子の方が、やはり成績はいいのが実情です。
その理由は簡単です。
今の入試では、頭のよくなる学習を1時間しかしない子よりも、成績のよくなる学習を5時間する子の方が、成績がよくなるような試験内容になっているからです。
本当に差がはっきりしてくるのは、大学入学後です。
学校を卒業して、社会で仕事に取り組むようになると、学習の内容は、1を10回加えるような簡単なものから、もっと複雑なものになってきます。
そのときに、頭のよくなる学習を実践し抽象的に処理する能力を身につけた子は、次々と出てくる難問に取り組んでいくことができるのです。
では、その抽象的な能力とは、何でしょうか。
そのお話は次回に・・・。