アルゴの中学受験日記

中学受験を通じて成績と連動する真の努力の形を伝えます

今思うこと

「早く、早く」を連発する保護者の方へ

「早く、早く」を連発する保護者の方へ

30年ほど前、東京に6ヶ月くらい住んでいました。その後、長崎県の離島に引っ越して、今は京都に住んでいます。そんな島暮らしに慣れてから出てきた頃の私は、電車やバスの待ち時間がとても退屈でした。

とはいえ、都会の電車やバスの待ち時間なんて、田舎に比べたらすごく短いものです。島には電車はありませんし、バスも1時間に1本(!)ぐらいです。それが、都会ではたった数分で次の電車が来るのに、なぜか退屈でした。

……答えは、田舎では、車を利用することにありました。家のドアを出て、数歩歩いて車に乗る。渋滞はまずないし、そのままスムーズに走り続け、目的地に着き、そこからまた数歩で建物に入る。待ち時間は、途中の信号の分しかありません。信号自体もあまりありません。

都会にいると家と職場が遠く、待って、歩いて、また待って、歩いて、……そのくり返しです。それがとてもおっくうに感じられたのです。

話は変わって現在、電車に乗ると車内全てがスマホ凝視のオンパレード。今では島でも、レストランで食べ物が出てくるのを待っている間、子供や若者たち・大人たちさえもスマホをながめています。その間、家族で、あるいは何人かでテーブルを囲んでいても、会話はありません。

知り合いの車には、後部座席にもモニターがついています。「長いドライブの時、DVDを見せてると、退屈しなくて助かるのよ~」と、お母さんがおっしゃいます。目的地まで、景色も見ないで、子供達はただ運ばれていくのでしょう。

これは、世の中の人みんなが「待てない病」にかかっているのだと思います。昔は手紙だったから、返事を何日も待ったのに、今はメールで即返事。ぼーっとした時間があると退屈だから、すぐゲーム。ちょっとでも待たされると、いらつく。(話題の食べ物屋さんに何時間も行列している人たちは別ですが。)この「待てない病」が加速していくといったいどうなっていくのでしょう。

環境問題のバイブル、『沈黙の春』の著者であるレイチェル・カーソンは、少女時代、ヘビの脱皮を2時間くらいながめていたそうです。また、評論家の吉本隆明氏は、娘である吉本ばななさんの育て方について聞かれた時、「特別なことはしていないが、何かに夢中になっている時は絶対に中断させなかった。」と言っていました。

「ご飯よ!」「早くお風呂に入ってしまって!」「早く宿題しなさい!」と、「早く」「早く」を連発しがちな保護者の方にとって耳の痛い話です。「どれくらい待てるか。」それこそが子どもの成長にシンクロしていきます。

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