昔は、というのは昭和の初期のころの話ですが、基礎学力は小学校や中学校で十分につきました。
高度な学力は高等学校や大学でつきました。
そして、創造しようという意欲は、日本が欧米にキャッチアップしなければならないという状況の中で自然に生まれていました。
だから、国民全体の自然な努力で日本は高度な工業国になっっていったのです。
しかし、今は、基礎学力も、高度な学力も、創造性も、既存の学校と社会の中では十分につけることはできません。
しかも、その一方で早期からの長時間の学習によって、受験勉強という狭い範囲の成績は上がっても、高度な学力や創造性はかえって低下しています。
また、受験勉強に乗り切れない子供たちは、基礎学力さえも途上国並みに低下しているのです。
しかし、この低下する教育環境に反比例するかのように、新しい教育のビジョンが生まれているのが現代の特徴です。
そのひとつは、今回のコロナ禍により一段と進んだ、オンライン学習のようなトータルな教育システムです。
第二は、スタディサプリなどの、ネット授業が無料又は低価格で利用できるようになっていることです。
第三はgoogle+やクロームブック、zoomなど、学習の質問や相談の場として使えるソーシャルサービスが広く利用できるようになっていることです。
第四は、ほとんどの家庭でパソコンやスマホを利用できる環境になっていることです。
基礎学力の充実は、市販の教材とオンライン指導でシステム化できます。
高度な先取り学力は、やはり市販の教材とスタディサプリのようなネット授業とオンライン講座でシステム化できます。
創造性を育てる作文は、オンライン作文という形でシステム化できます。
そして、これらを統合した長期的で全体的な教育のビジョンを提供する管理ソフトも生まれています。
更に、深層学習を利用したAIによる学習へのアプローチも始まり、これが更に進化すれば、この教育システムを世界中で共有することができるようになるでしょう。
そして、最も大事なことは、この様ざきなITツールを含めた教育環境の進歩により、新しい個性的な教育を作り出す人がぞくぞくと生まれてくることが考えられることです。
今の教育分野は、国語、数学、英語などの主要三教科や五教科や九教科に絞られています。
これらの基礎的な教科はもちろん大事ですが、人間の能力の無限性から考えると、学ぶことのできる教科はこれから無限に生まれてきます。
これは、スポーツでも音楽でも同様です。
今のスポーツは、オリンピックの種目に見られるように、少数のメジャーなものに過剰に多くの人が参加する形になっています。
しかし、人間の身体の無限性から考えると、スポーツとして楽しめる分野はこれからずっと多様になります。
音楽も、今はまだ楽器の種類などがメジャーなものに限られていますが、音の楽しみ方の無限性から考えると、楽器の種類も音楽の種類もずっと多様になります。
そして、同じように文化のあらゆる面が、これからますます多様になり、その多様性を創造する人が次々に生まれてくるようになるのです。
作文の創造性の発展したものが、この新しい文化を作るという実行の創造性です。
将来の社会は、多くの人が自分の創造性を楽しみ、基礎学力の充実した、余裕のある遊びの生活を送るようになると考えられます。
多様性に満ちた教育文化的環境が形成されていくのも、そんな遠くのお話ではありません。
しかし、実際の子供たちの状況は、学年が上がるにつれて、他人との競争に勝つための受験勉強に追われ、自由な学習から逸脱し枠組みが与えられた学習を強制されることになります。
この強制力を伴う教育が子供たちの可能性を狭めています。
これからの時代に求められる本来の教育のため、大人たちは今立ち止まり、未来の理想とする教育がなんななのか考える時期が来ています。
中学受験を考える学習塾『アルゴ・システムズ』
代表 村元 謙二(文責)
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