アルゴの中学受験日記

中学受験を通じて成績と連動する真の努力の形を伝えます

中学受験の現場

信じる力(再掲)

信じる力(再掲)

『当塾では、昨日1月7日から本格的な中学受験日程の開始です。毎年この時期に掲載するこの記事は、受験に向かう子どもたちへのエールであるとともに、私自身への戒めでもあります。今年の受験も大願成就で終了できることを願い再掲します。』

お預かりした小6生のあれこれを思い出していると、以前指導した生徒のことを思い出しました。

いい機会なのでここにご紹介したいと思います。

その生徒にはとても憧れている中学がありました。

彼はぜひその中学に入りたいと思い、毎日頑張って学習していました。

ところが、なかなか成績は伸びません。

その中学は、難関中学といわれている学校で、どう考えてもそのときの彼の成績では無理な状態だったのです。

お母さんは悩み、彼に言って聞かせました。

「あなたの成績では、その中学は無理だ。塾の先生もそうおっしゃっているでしょう。他にもいっぱい、いい中学があるんだし、別の学校を受験しよう」、と。

すると彼はポタポタとなみだを落とし、首を横に振って「いやだ。だって、オレそこに受かるもん」といったのです。

「受かるもんって……、ほら見てごらん。偏差値、こんなに足りてないんだよ」
「でも、オレは受かるもん」
「なんで? どうしてそう思うの?」
「どうしても」
「だって、ほら、成績のデーターが……」
「だけど、オレ受かるもん」

なんべん説得しても、同じでした。

彼は、「受かるもん」としか言わず、もくもくと学習を続けるだけでした。

仕方なくお母さんは決心しました。

そこまでいうなら受けさせよう、ダメなのはわかっているけど、とにかく受けて落ちれば彼も納得するだろうと。

当時は、午後日程などもなく、今ほど併願入試ができにくく、いわば一発入試に近いタイトな日程でした。

試験当日、彼は遠足にでも行くような顔で家を出、たくさんの賢そうな受験生を見ても、一向に怯む様子もなく、楽しげに試験会場に消えていったということです。

そして翌日の合格発表。

彼の受験番号はしっかりと掲示板に張り出されていました。

驚くお母さんに、彼は言いました。

「ね、受かるって言ったでしょう」と。

お母さんは「あの子ったら、まるで合格するのがわかってたみたい」と、おっしゃっていました。

そして、続けられたのです、「とにかく、信じこんでたみたい。絶対に自分は合格するって。」

彼の偏差値はたしかに高くはありませんでした。

けれど、彼にはそれを補って余りある能力がありました。それは、自分自身を『信じる力』そしてあきらめずに『努力し続ける力』。

きらめくような才能なんかなくたって、この二つの力さえあれば、たいていの望みは叶うのだと改めて教えられた出来事でした。

『このことを思い出すと、今でも自然と涙がこぼれます。今このとき、この記事を、自分の力を信じ受験勉強に取り組んでいる全ての受験生にエールを込めて、次の言葉とともに届けます。

『信じる力』そして『努力し続ける力』にこそ神は宿る 』

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