日本と世界の改革を成功させる鍵は、教育にあります。
では、どういう教育がこれから求められるかというと、第一は、実力をつける教育です。
現在の教育は、受験のための「差をつける教育」となっているので、人間にとって本当に必要な勉強ではなく、差のつきやすい分野で間違えないようにするという教育が中心となっています。
このために、教育はきわめて無駄の多いものになっているのです。
たとえば、本当は、高校生は、文系理系にかかわらず全教科を習得していた方が将来役に立つにもかかわらず、重箱の隅をつつくような学習のために、限られた教科を選択する学習法になっています。
第二は、家庭教育の充実です。
実力をつけるための学習の基本は、家庭での自習です。
秋田県や福井県のような学力テスト上位県の特徴は、祖父母と同居している家族構成のために家庭学習がうまくいっているという特徴があります。
しかし、その秋田県や福井県が、大学入試では以外にふるわないように見えるのは、実力をつける学習と受験の学習は性格が違うからです。
受験のための学習は、受験期間の一時期に受験に合った方法で取り組むものです。
普段の学習は、受験とは関係なしに実力を育てる学習を家庭で日常的に続けていく必要があります。
現在の学校教育や学習塾の教育は、欧米流の一斉指導の延長で行われ、改変されてきたために、きわめて能率の悪い、コストのかかるものになっています。
これまで、特に一斉指導が有効だったのは、国民の所得水準や文化水準が比較的均等だったからです。
江戸時代の寺子屋は、子供の自学自習を中心とした教育方式で、低コストにもかかわらず、多様な生徒を同時に教育することができ、しかも高い成果を上げていました。
この寺子屋方式の学習を家庭と地域で復活させていく必要があります。
第三は、点数ではなく文化を評価する教育にしていくことです。
現代の教育は、客観的、民主的な評価という建前で、点数化されたものを中心に行う傾向があります。
しかし、人間の教育において最も大事なことは、学習でよい点数を取ることではなく、その学習に喜びを感じることですし、また点数として評価しようがない文化や優しさや思いやり・勇気といった形而上ものを教育の中で育てていく必要があります。
その方法もまた、江戸時代の寺子屋の中に、参考にできるものが数多くあるのです。
第四に、これからの教育は、競争に勝つための教育ではなく、独立して起業することを目的とするようなものになります。
だから、与えられた土俵で他人に勝つことを目指すのではなく、自分の好きな土俵をいかに社会の中で意味ある形にするかというようなことが、学習の大きな目標になっていきます。
アルゴ・システムズ 代表 村元 謙二(文責) 京都市中京区柳水町71-1-103 TEL.075-221-5101