『昨日の中学入試日の夕方から嬉しい結果が入りました。毎年この時期に掲載するこの記事は、受験に向かう子どもたちへのエールであるとともに、私自身への戒めでもあります。今年の受験もすべての子供達が大願成就で終了できることを願い再掲します。』
お預かりした小6生のあれこれを思い出していると、以前指導した生徒のことを思い出しました。
いい機会なのでここにご紹介したいと思います。
その生徒にはとても憧れている中学がありました。
彼はぜひその中学に入りたいと思い、毎日頑張って学習していました。
ところが、なかなか成績は伸びません。 その中学は、難関中学といわれている学校で、どう考えてもそのときの彼の成績では無理な状態だったのです。
お母さんは悩み、彼に言って聞かせました。
「あなたの成績では、その中学は無理だ。塾の先生もそうおっしゃっているでしょう。他にもいっぱい、いい中学があるんだし、別の学校を受験しよう」、と。
すると彼はポタポタとなみだを落とし、首を横に振って「いやだ。だって、オレそこに受かるもん」といったのです。
「受かるもんって……、ほら見てごらん。偏差値、こんなに足りてないんだよ」
「でも、オレは受かるもん」
「なんで? どうしてそう思うの?」
「どうしても」
「だって、ほら、成績のデーターが……」
「だけど、オレ受かるもん」
なんべん説得しても、同じでした。
彼は、「受かるもん」としか言わず、もくもくと学習を続けるだけでした。
仕方なくお母さんは決心しました。
そこまでいうなら受けさせよう、ダメなのはわかっているけど、とにかく受けて落ちれば彼も納得するだろうと。
当時は、午後日程などもなく、今ほど併願入試ができにくく、いわば一発入試に近いタイトな日程でした。
試験当日、彼は遠足にでも行くような顔で家を出て、たくさんの賢そうな受験生を見ても、一向に怯む様子もなく、楽しげに試験会場に消えていったということです。
そして翌日の合格発表。
彼の受験番号はしっかりと掲示板に張り出されていました。
驚くお母さんに、彼は言いました。
「ね、受かるって言ったでしょう」と。
お母さんは「あの子ったら、まるで合格するのがわかってたみたい」と、おっしゃっていました。
そして、続けられたのです、「とにかく、信じこんでたみたい。絶対に自分は合格するって。」
彼の偏差値はたしかに高くはありませんでした。 けれど、彼にはそれを補って余りある能力がありました。
それは、自分自身を『信じる力』そしてあきらめずに『努力し続ける力』。
きらめくような才能なんかなくたって、この二つの力さえあれば、たいていの望みは叶うのだと改めて教えられた出来事でした。
『このことを思い出すと、今でも自然と涙がこぼれます。今このとき、この記事を、自分の力を信じ入試問題に取り組んでいる全ての受験生にエールを込めて、次の言葉とともに贈ります。 『信じる力』そして『努力し続ける力』にこそ神は宿る最後まで諦めるな。…と 』
中学受験を考える学習塾『アルゴ・システムズ』
代表 村元 謙二(文責)
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