「おはよう!」と、とび起きて一番に時計を見る人。
朝ごはんを食べながら、時間が気になる人。
雨にぬれた淡い色のアジサイの花に見とれ、ハッと急ぎ足で通り過ぎて行く人。
約束の時間を守る大切さを知っている人。人はいつも時間を気にして過ごしています。
6月10日は「時の記念日」でした。よい機会だと思い、調べてみました。
抜書きですが、西暦671年、天智天皇は水時計を設置し、日本で初めて人々に時刻を知らせたといいます。
『日本書紀』によるとその日が4月25日。今の暦では6月10日に当たります。したがって、6月10日が「時の記念日」に選ばれました。
これが、1920(大正9)年のこと。東京天文台と生活改善同盟会によって定められたとのことです。「時間をきちんと守り,欧米なみに生活の改善・合理化を図ろう」という目標がありました。
時計の針はどうして右まわりなのでしょう。日時計から受け継がれてきたことは、知っている人もいるでしょう。
地面に立てた棒の影を追っていけば右まわりになります。太陽の位置を思い浮かべると南半球では、日時計の影は左まわりになります。
しかし、時計を発明した場所はイタリア。そのころの文明は、ほとんどが北半球にありました。
そういうわけで、時計の針の右まわりは、世界中どこの時計も、4千年まえのエジプト人が作りだした日時計のしくみをひきついでいるのです。
はじめて機械時計を作ったといわれるイタリアの修道僧が、日時計の影にあわせて、文字盤の数字をならべたとのこと。
初期の機械時計は、動力におもりを用い、冠形(かんむりがた)の歯車の回転で振り子をしんどうさせるものでした。
機械時計にはかならず鐘がついており、自動的に鐘を打って町の人びとに時を知らせていました。
時計は時刻を知るだけでなく、機能的な生活を送るための大切な道具だったと改めて思いました。
現代は、簡単に時刻がわかり便利なように思えますが、時間に追われて生活し、時間の煩わしさを感じ、粗末にしているとも言えます。
野に響く鐘の音で時刻を知った時代のほうが、よほど時間は大切に扱われていたのかもしれません。
そんなことを感じた「時の記念日」との一コマでした。
この世の中は知らないものだらけ。だからこそ、「調べること」の楽しみがあります。
広がりのある知的な行動は健全な学力の基礎です。いっぱい困って、いっぱい調べて、チョットずつ判る。それが本当の学習の姿と思いました。